不動産売却時の諸費用は?トラブル事例や支払いのタイミングを解説
不動産売却には仲介手数料、印紙税、抵当権抹消手数料、譲渡所得税などの諸費用がかかります。確定申告を忘れず、業者の条件を確認することが重要です。解体費用を避けるため、古家付き土地として売却する方法も検討しましょう。
目次
不動産売却の際にかかる諸費用について知ろう
不動産売却時には、いくつかの費用が発生しますが、その中で最も大きな割合を占めるのは仲介手数料です。これ以外にも、売却に伴うさまざまな費用が発生することがあります。
◇諸費用の大半は仲介手数料
不動産売却時に発生する費用のうち、最も大きな部分を占めるのが仲介手数料です。自分で売却先を探して取引を進める場合にはこの費用は発生しませんが、多くの人が不動産業者に依頼するため、仲介手数料が必要になります。不動産業者による買取の場合は、仲介手数料が不要です。仲介手数料の金額は、売却額に応じて以下の計算式で決まります。
(売却額×3%+6万円)+消費税
ほとんどの不動産業者は、上記の計算式に基づいて最大額を請求してきます。売却時の希望額を決める際には、この仲介手数料の金額も考慮することが重要です。
◇通常発生する費用の内容
不動産売却には、仲介手数料以外にもいくつかの費用が必要です。まず、印紙税があります。これは、売買契約書に貼り付けて納税する国税で、売却金額に応じて税額が変わります。次に、抵当権抹消手数料があります。これは、売却する不動産に抵当権が設定されている場合に発生する費用です。また、住宅ローン完済手数料もかかります。
住宅ローンを完済するための手数料は金融機関によって異なり、場合によっては無料となることもあります。
◇場合によって発生する費用の内容
前述した費用のほかに、特定の状況で発生することがある費用もあります。たとえば、売却金額が購入時の金額を上回り、譲渡所得が発生した場合は、所得税と住民税を納める必要があります。軽減措置が取れる場合もあるため、注意が必要です。
さらに、売却前に物件をきれいにするためにハウスクリーニングやリフォームを行う場合、その費用が発生します。土地の境界を明確にするための測量費用や、解体後に土地を売却する場合の解体費用も必要になることがあります。
不動産売却にかかる諸費用で起こるトラブル
不動産売却時にいくつかの注意すべき点があります。確定申告を忘れてしまうと、後に追加で税金を支払うことになるため、しっかりと手続きを行うことが重要です。
◇確定申告を忘れてしまう
確定申告を行わないと、後で追徴課税などのペナルティが課されることになります。確定申告は1年間の所得と税額を計算し、所轄の税務署に報告する手続きです。上もし不動産を売却し、譲渡所得が発生した場合は、必ず確定申告を行い、税金を納める義務があります。
また、不動産売却に関連する税制上の特例を受けるためにも確定申告が必要です。確定申告には専門的な知識が求められるため、事前に手続きの内容や方法をしっかりと理解しておくことが大切です。
◇不動産業者との仲介手数料に関する問題
不動産業者に支払う仲介手数料を巡るトラブルも多くあります。仲介手数料は高額になることがあり、事前にしっかりと確認しておかないと、後で支払いが難しくなることがあります。中には、法定の上限を超える金額を要求する不動産業者や、仲介手数料を無料としながら、別途高額な料金を請求する業者もいます。
仲介を依頼する前に、必ず業者と十分に相談し、料金に納得したうえで手続きを進めることが重要です。
◇解体費用の負担が重荷になる
不動産を解体してから売却を検討する場合、解体費用が予想以上に高額になり、その負担が大きくなることがあります。特に古屋がある物件では、買い手がつかないことを避けるため、解体して土地だけを売却しようと考える人も多いです。
しかし、解体費用が数百万円以上かかることもあるため、事前にその費用感をしっかり把握しておくことが大切です。更地にしても必ずしも売却が成功する保証はないため、思わぬ損失を被る可能性もあります。
諸費用に関連するトラブルを避けるための方法
不動産売却において、確定申告や仲介手数料、解体費用など、注意すべき点がいくつかあります。事前に準備をしておくことで、トラブルを避けることができます。
◇事前に確定申告の準備をする
確定申告を忘れないためには、売却前にしっかり準備しておくことが大切です。売却金額によっては確定申告が不要な場合もありますが、申告が必要になる可能性もあるため、あらかじめ準備しておけば忘れるリスクを減らせます。
税制上の特例を受けるためには、確定申告書とともにさまざまな書類が必要となります。戸籍の写しなど、役所で取得しなければならない書類もあるため、早めに用意しておくと安心です。
◇仲介手数料無料の条件にこだわらない
仲介手数料が無料という条件にこだわりすぎると、後で後悔することがあります。最近では、業者間の差別化を図るため、仲介手数料無料を売りにしている不動産業者が増えています。そのため、選択肢が多く、どの業者を選ぶか迷うこともあります。
しかし、無料の裏には別の目的が隠れていることもあるため、慎重に判断することが大切です。無料にする代わりにサービス内容が不十分であることもあるので、業者の提供するサービスをよく確認し、納得したうえで選ぶようにしましょう。
◇古家付き土地として売却する方法を検討
解体費用を避けるためには、古屋を残したままで土地だけを売却する方法も一つの選択肢です。この方法では、家屋部分が評価されず、土地だけが対象となります。
そのため、解体費用をかけずに売却できる利点があります。家屋が評価されないため、売却価格は安くなることが多いですが、買主にとっては自分の判断で不動産を活用できる点が魅力となり、一定のニーズが期待できます。
早期売却を重視しない場合や、価格を少し低くしても構わない場合には、古家付き土地として売却を検討してみましょう。
諸費用の項目により支払うタイミングは異なる
不動産売却時には、売買契約、決済、引き渡し後など、各段階でさまざまな費用が発生します。これらの費用を事前に理解し、適切に準備することが重要です。
◇売買契約時に発生する諸費用
売買契約時には、印紙税や仲介手数料が発生します。印紙税は売買契約書に貼り付けて納税する税金で、売却金額によって異なりますが、一般的には1万円程度の場合が多いです。仲介手数料については、売買契約時に半額を支払うことが一般的ですが、不動産業者によって支払いタイミングや金額が異なるため、契約を結ぶ前に確認しておくことが大切です。
◇決済時に発生する諸費用
代金決済時には、住宅ローン完済手数料や仲介手数料の残額が発生します。住宅ローン完済手数料は、売却金額を使って住宅ローン残高を支払う際に発生する費用で、最近では一部のネット銀行では無料となっているケースもあります。仲介手数料の残額は、契約時に半額を支払った後、決済時に残りを支払うことが一般的です。事前に不動産業者に確認しておくと安心です。
◇引き渡し後に発生する諸費用
不動産の引き渡し後には、譲渡所得に対する所得税や住民税、抵当権抹消手数料が発生します。譲渡所得が発生した場合は確定申告を行い、所得税を納める必要があります。住民税は、市区町村側で計算されます。
住宅ローンを組んでいた場合、不動産に設定されている抵当権を抹消するための手続きも必要です。手続きを自分で行う場合は1,000円程度の手数料がかかりますが、専門家に依頼する場合は1万円程度の費用が発生します。
◇場合によって他にも費用が発生
解体費用やクリーニング・リフォーム費用も発生することがあります。特に家屋を解体して更地にして売却する場合には、高額な解体費用がかかります。また、古い家をきれいにして売却したい場合には、クリーニングやリフォーム費用が必要になります。
これらの費用はスムーズに物件を売却するために必要な準備ですが、費用がかさむことを考慮して、負担になりすぎないようにしましょう。
不動産売却には多くの諸費用が発生します。主な費用は仲介手数料で、売却額に応じた計算式で決まります。他にも、売買契約時の印紙税や住宅ローン完済手数料、抵当権抹消手数料が必要です。売却後には譲渡所得税や住民税、解体費用やクリーニング費用が発生する場合もあります。
トラブルを避けるためには、確定申告を忘れず、仲介手数料や業者の条件を事前に確認することが大切です。また、解体費用を回避するために、古家付き土地として売却する方法も検討できます。売却前に必要な準備を行い、予想される費用を把握しておくことが重要です。