売却に注意が必要な土地とは?事前に確認すべきポイント
土地を売却する際は、まず名義変更と必要書類の整備が重要です。登記簿謄本を取得し、権利証や実測図も確認します。売却後は確定申告が必要で、相場調査や価格設定が成功に繋がります。共有名義や相続土地、古家付き土地など、注意が必要なケースもあります。
目次
土地を売却する際に確認すべきポイント
土地売却前には名義変更や必要書類の確認が不可欠です。名義変更が未完了なら、司法書士に依頼して手続きを進めましょう。必要書類には権利証や実測図が含まれ、境界確定も重要です。特に確定測量図が求められるため、早めに測量会社に依頼することをおすすめします。
◇名義変更
不動産の売買や相続の際には、所有権移転登記である「名義変更」が必要です。土地を売却する場合、登記簿謄本に記載されている所有者名が正確に売主の名義に変更されていることが求められます。
登記簿謄本は法務局で取得できる「登記事項証明書」で、不動産の所有者や面積、地番、地目が記載されています。名義変更が未完了の場合は、司法書士に依頼し、名義変更を完了させてから売却を進めるべきです。
◇必要書類
売却時に確認すべき主な書類は、「権利証(または登記識別情報通知書)」、「実測図」、「土地の売買契約書」の三つです。権利証と登記識別情報通知書は所有者本人のみが持つ重要な書類で、法務局から交付されます。2005年以降、登記識別情報通知書が権利証の代わりに発行されるようになっています。
万が一、権利証を紛失した場合は、不動産会社に相談して、代替書類の取得方法を確認することが重要です。
◇境界の確定
土地を購入する際、買主が境界の確定を条件とすることが一般的です。境界には、道路との「官民境界」と隣地との「民民境界」の2種類があり、両方が確定して初めて「確定測量図」が作成されます。この図があれば、官民境界と民民境界がすべて確定していることが示されます。
確定測量図がない場合、測量会社に依頼し、作成を進める必要がありますが、作成には時間がかかるため、早めの依頼が求められます。
土地を売却する流れ
土地売却には事前準備が不可欠です。名義変更や必要書類の確認を行い、本人確認書類や税額確認書類も整えます。査定依頼や媒介契約を経て、売却価格を設定し、売却活動を開始します。交渉が成立したら契約し、引き渡しを行います。翌年には確定申告も忘れずに行いましょう。
◇1.事前準備
土地を売却するには、名義変更、必要書類、境界の確定を確認することが重要です。これらは売却価格や流れに大きく影響します。また、本人確認のために身分証明書、実印、印鑑証明書、住民票を用意しましょう。さらに、税額確認として固定資産税納税通知書と固定資産税評価証明書も準備することが求められます。
◇2.査定依頼
必要な書類が揃ったら、土地の査定を不動産会社に依頼します。査定額は会社によって異なるため、複数社に依頼することが賢明です。効率的に査定を依頼するには、一括査定サービスを利用すると便利です。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼でき、比較しやすくなります。
◇3.媒介契約の締結
査定を終えたら、売却をサポートしてくれる不動産会社を選びます。選定の際は、査定価格だけでなく、過去の売却実績や周辺物件の取引経験も考慮することが重要です。不動産会社が決まったら、媒介契約を結んで、具体的な売却活動を進める準備を整えます。
◇4.売却価格の決定・売却活動の開始
媒介契約を結んだ後、売り出し価格を設定します。売り出し価格は自由に決められますが、査定価格を参考にして、不動産会社の担当者に周辺の売却事例を確認し、市場状況を把握することが重要です。価格が決まれば、不動産会社が売却情報を開示し、売却活動が始まります。
◇5.価格・条件交渉と契約・引き渡し
購入希望者からの申込書を受け取ったら、不動産会社を通じて価格や条件を検討します。合意が得られたら、売買契約を締結し、不動産会社が必要書類を作成します。契約書を確認し、手付金を受け取った後、契約が成立します。引き渡し時には残金を受け取り、必要書類を渡して売却が完了します。
◇6.確定申告
土地を売却した翌年には、確定申告を行います。給与所得者でも土地を売却した場合は必須です。利益が出た場合は譲渡所得の確定申告、損失が出た場合は譲渡損失の確定申告を行います。また、特例による特別控除を利用できる可能性もあるため、申告前に確認しておくことが大切です。
土地の売却を成功させるには?
土地売却には適正価格の設定が不可欠です。相場を調査し、希望価格と売り時を明確にすることが重要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、最適なパートナーを選ぶことが成功への鍵となります。
◇相場を調べる
土地の売却では、相場に適した価格設定が不可欠です。適正価格を知ることで、売れ残るリスクを避け、値下げ交渉にも冷静に臨めます。土地の評価額は、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」で確認できます。また、実際の取引価格は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を使って調べるとよいでしょう。
◇希望を明確にする
土地の「売却希望価格」と「売りたい時期」をしっかり明確にします。希望価格が曖昧だと、値下げ交渉で納得できない価格に下がる恐れがあります。また、売りたい時期が不明確だと長期間売れ残るリスクもあるため、事前に価格と時期をしっかり決めることが重要です。一般的に、新生活シーズン前の1〜3月は不動産市場が活発になる時期です。
◇複数の不動産会社に査定依頼する
土地を売却する際には、パートナーとなる不動産会社の選定が非常に重要です。どの不動産会社に仲介を依頼するかによって、売却価格が大きく変わることがあります。不動産会社には得意な分野があり、全ての地域に精通しているわけではありません。土地の周辺地域に強い不動産会社を見つけることが、成功する売却の鍵となります。
売却に注意が必要な土地とは?
土地売却には、共有名義や相続、古家付き、貸地、ローン残債など特有の条件が影響します。それぞれの状況に応じて必要な手続きや注意点を理解し、適切に対処することが重要です。
◇共有名義の土地
共有名義の不動産を売却する場合、全ての共有者が売却に同意している必要があります。一人でも反対する共有者がいると、売却手続きを進めることはできません。手続きには、共有者全員の身分証明書、実印、印鑑証明書、住民票などの書類が求められます。事前に全員の同意を得ることが大切です。
◇相続した土地
相続した土地を売却する際は、名義変更を必ず行ってから手続きを進める必要があります。名義変更が完了していないと、売却ができないため注意が必要です。また、売却によって得た資金で相続税を支払う場合、納税期限を意識して行動することが重要です。計画的に進めましょう。
◇古家付きの土地
築20年以上の古家がある土地の場合、その建物の資産価値は低いため、古家付き土地として販売することが一般的です。しかし、買主が解体費用を負担する必要があり、これが売却の障害となることがあります。解体費用が高額になる場合もあるため、売却活動には注意が必要です。
◇貸している土地
借地権が設定されている土地を売却する際には、借地人の承諾が必要です。さらに、その土地に建物があり、その建物の所有者が自分でない場合、建物の所有者との協議も必要です。借地権の条件をよく確認し、承諾を得る手続きが大切です。
◇ローンが残っている土地
ローンが残っている土地を売却する場合、一括返済が可能かどうかが大きなポイントです。一括返済できない場合は、任意売却など別の方法を検討する必要があります。残債の状況をよく理解し、適切な対応を考えることが重要です。
土地を売却する前に、まず売却可能な状態か確認することが重要です。名義変更が必要で、所有権移転登記が正しく行われているかを確認します。登記簿謄本を取得し、正しい所有者名に変更されていることを確かめましょう。名義変更が未完了の場合、司法書士に依頼して手続きを行います。
次に必要書類を整えます。「権利証」や「実測図」、「土地の売買契約書」が主な書類です。権利証は重要な書類で、紛失した場合は不動産会社に相談し代替手続きを進めましょう。また、土地の境界確定も必須です。境界には官民境界と民民境界があり、確定測量図の作成が求められます。測量会社に依頼する際は早めに行動することが重要です。
売却の流れは、事前準備から始まります。名義変更や必要書類の確認、境界確定を行い、本人確認書類や税額確認書類も準備します。準備が整ったら土地の査定を依頼し、複数の不動産会社に比較を行います。査定後、媒介契約を締結し、売却サポートを依頼します。
売り出し価格を決定し、不動産会社と協力して売却活動を開始します。購入希望者が現れると、価格や条件の交渉が始まります。双方が合意すれば売買契約を締結し、手付金を受け取ります。引き渡し時に残金を受け取り、必要書類を渡して売却が完了します。
売却後は翌年に確定申告が必要です。利益が出た場合は譲渡所得の申告、損失が出た場合は譲渡損失の申告を行います。特例による控除も検討し、税金軽減を目指しましょう。土地売却には相場調査や明確な希望価格設定、複数の不動産会社への査定依頼が重要です。注意が必要な土地には、共有名義や相続した土地、古家付き土地、借地権付き土地、ローン残債のある土地がありますので、それぞれの条件を確認しながら進めましょう。